
フィッシュサーフボードの全て
フィッシュサーフボードの完全ガイド
フィッシュサーフボード(以下フィッシュボード)は、そのユニークなデザインと高い汎用性により、ショートとロングの中間的な存在として人気。とくに以下のような特徴があげられる:
- 小波でもスピードが出せる
- 優れた安定性
- パドリングが楽
- 弱い波でも楽しめる
- ロングボードよりも多彩なマニューバーが可能
この記事では、フィッシュボードがなぜこれほど特異な性能を発揮するのか、そのデザインをノーズからテール、フィン構成まで詳しく掘り下げていこう。
フィッシュボードがおすすめな理由
フィッシュボードは、魚のヒレを思わせる特徴的なデザインと幅広で厚みのある形状が特徴的で、オルタナティブサーフボードの代表格として広く知られている。サイズのない波でも楽しめ、操作性が高いため、適切なサイズを選べば初心者の方でも比較的扱いやすいボードだ。
フィッシュサーフボードの主な特徴
1. フィッシュボードのノーズ
フィッシュのノーズは、その性能に重要な役割を果たす。一般的なショートボードとは異なり、フィッシュのノーズは尖った形状ではなく、やや丸みを帯びている。この特性により、安定性と操作性を兼ね備えたボードが実現している。
2. 幅と厚さ
ボードの幅と厚さが大きいほど、水面での浮力が増す。これにより、パドリングが容易になり、波をスムーズにキャッチできる能力が向上する。一方で、過度に大きい幅と厚さは、ボードの速度を抑えてしまう可能性がある。しかし、フィッシュはそのデザインにより、このトレードオフを最小限に抑え、小波での優れたパフォーマンスを実現している。
3. ロッカー
ロッカーとは、サーフボードのデッキとテールの間の曲線のことを指す。フィッシュボードは一般的に、低いロッカー(ほとんどカーブのないデザイン)を採用している。これにより、水中での抵抗が減少し、高速性能が向上する。ただし、操作性においては、他のデザインに比べて若干の犠牲を払うことになる。
4. 長さ
フィッシュボードは一般的に短めのボードだ。その短さにより、機敏で速い反応が可能となる。これは、長いボードの安定性と短いボードの操作性を組み合わせた、ユニークな特性を持つ理由である。
5. レール
フィッシュボードのレール(側面の形状)は、浮力と機動性のバランスを取る重要な要素だ。フィッシュはその厚いレールにより、優れた浮力を提供しつつ、スムーズなターンと高速スキャート感を実現している。
6. スワローテール
フィッシュボードと言えば、テールの形状だ。その特徴的なスワローテールは、水の抵抗を減少させるために設計されている。このデザインは、ボードの速度とパドリングパワーを最大限に引き出すことを可能にする。また、深いVシェイプの尾により、さらに高度なマニューバビリティが提供される。
フィッシュボードの歴史
最初にフィッシュデザインを世に送り出したのは、1964年頃サンディエゴのニーボーダーであるスティーブ・リズだとされている。これが「レトロフィッシュ」もしくは「サンディエゴフィッシュ」と呼ばれるものだ。
もちろんそれ以前にもフィッシュの原型となるデザインは存在した。50年代のボブ・シモンズによる、広めのテールにツインフィン、シングルコンケーブからVEEにつながるボトム、緩めのロッカーなどを特徴とするボードはその一例だ。
リズのレトロフィッシュ以降、70年代にはディビッド・ヌーヴァ、スキップ・フライなど多くのサーファー/シェーパーたちが自分のスタイルや波の特性に合わせた変更を加えながら、フィッシュのコンセプトを発展させてきた。
フィッシュサーフボードの種類
現代においては、フィッシュボードは大きく三つのタイプに分類される:
レトロフィッシュ(サンディエゴフィッシュ)
オリジナルのフィッシュボードデザインの性質をそのまま受け継ぐタイプ。長さは短めでツインフィン若しくはクアッドフィン。ルーズでスケーティ。
モダンフィッシュ
レトロフィッシュを基にして、現代のシェーパーが操作性を向上させるための改良を加えたものだ。長さは増して、スラスターの物も。レトロより安定性がありスピードも出しやすい傾向に。
ハイパフォーマンスフィッシュ
最新のショートボードデザインにフィッシュの要素を取り入れたものだ。基本はショートボードであり、テールやボトムなどにフィッシュデザインの要素を加えている。
フィンセットアップの選択肢
フィッシュボードは、さまざまなフィンセットアップを採用することができる:
ツインフィン
最も伝統的なセットアップで、左右のヒレ状テールに一枚ずつフィンを配置する。キールフィンが直進性を保持しつつ、加速性を損なわないので、ボードの特性に合っている。大きい波ではコントロールが難しくなるが、中から小の波ではスピードが出やすい。
クアッドフィン
ボードのグリップと速度を最適化するのに効果的だ。縦のラインのアクションやタイトなターン、鋭角的なカットがしやすくなる。大き目の波にも対応可能。
トライフィン(スラスター)
センターフィンを追加することで、高い操作性による不安定さが抑えられ、直進性が高まる。
フィッシュボードの主なメリット
フィッシュボードには以下の主な利点がある:
- 加速性とスピード性能 - 幅広でボリュームがあるため浮力が高く、重心の捉え方で様々な波のコンディションでも高い加速性が得られる。比較的フラットなロッカーと厚めのレールにより、ターンやカットでもスピードが落ちにくい特性がある。
- パドルとテイクオフの容易さ - 形状と浮力により、ショートボードに比べて安定していてパドリングが楽で、テイクオフも早くなる。パワーの弱い波でもテイクオフしやすいので、様々な波のコンディションに対応できる。
- 小波での優れた性能 - 浮力の高さとデザイン特性により、サイズの小さな波でも楽しめる。
- 操作性と安定性のバランス - ロングボードよりも多彩なマニューバーが可能でありながら、ショートボードよりも安定性がある。
- 汎用性の高さ - 本来は掘れたパワフルな波向けにデザインされたが、その特性により、サイズの小さな波からホローな波まで様々なコンディションに対応できる。
サイズの選び方
フィッシュボードを選ぶ際は、以下のポイントに注目すべきだ:
- 幅 - 広めのものを選ぶと安定性が増す
- 厚さ - 比較的厚みのあるものが浮力を高める
- ロッカー - フラットに近いものが加速性に優れている
- 長さ - 一般的に、平均的な体格のサーファーであれば、身長より5〜15cm程度短いサイズが適していると言われている
- フィンセッティング - ツイン、トライ、クアッドのいずれも選択できるが、本来のフィッシュの特性を感じたい場合はツインがおすすめだ
初心者や短いボードに慣れていない方は、長さがあるほうが安定と加速性が得られるので、長めのフィッシュボードから始めるとよい。同じフィッシュデザインでも、テールの幅や厚みのあるものほど安定性と加速性が得られるため、レトロフィッシュまたはモダンフィッシュから選ぶのがおすすめだ。
まとめ
フィッシュサーフボードは、その独特なデザインにより、ショートボードとロングボードの長所を組み合わせた優れた選択肢だ。古い歴史を持ちながらも進化を続け、より幅広い波のコンディションに対応できるようになっている。サイズの小さな波から力強い波まで、様々な状況で楽しめる汎用性の高さが魅力だ。
テイクオフのしやすさや安定性から、適切に選べば初心者にも扱いやすいボードであり、経験者にとってもセカンドボードとして持つ価値がある。ロングボーダーもショートボーダーも、普段とは異なる新しいサーフィン体験を楽しめることだろう。
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