購入者完全ガイド

木でサーフボード?

木製サーフボードは、従来のフォームボードに代わる 環境に優しく、耐久性に優れた選択肢。クラシックな美しさ、高い耐久性、持続可能な素材を兼ね備え、職人技とパフォーマンスを重視するサーファーに選ばれている。

しかし、木製サーフボードは市場に多く出回っていないため、購入に不安を感じる人も多いだろう。

ここでは、木製サーフボードの種類、構造、メリット、注意点 について詳しく解説する。

木製サーフボードとは?

木製サーフボードとは、その名の通り、ポリウレタン(PU)や発泡ポリスチレン(EPS)ではなく 木材を使用したサーフボード のこと。

フォームボードと比べて 寿命が長く、環境負荷が少なく、独特のライディングフィール を持つのが特徴。見た目の美しさだけでなく、しっかりとしたパフォーマンスを求めるサーファーにも人気がある。

Chapter 1: 木製サーフボードの種類

木製サーフボードには、大きく分けて3つの構造タイプがあります。

ソリッドウッドサーフボード(無垢材サーフボード)

Solid Wooden Surfboard

木の塊から削り出して作られるサーフボード。最も初期のサーフボードはこの構造で、古代ハワイの王族が使用していたものもこのタイプ。

板材を接着し、希望のサーフボード形状に削り出して製作。無垢の木材で作られているため非常に強度が高く、ファイバーグラスの層を必要としない。防水加工としてオイル、ニス、またはエポキシで仕上げるのみで十分。

しかし、ソリッドウッドサーフボードは構造上、他の種類のサーフボードと比べて大幅に重くなる。歴史的なハワイの王族が使用していたサーフボードは70kg以上の重さがあったとも言われている。

まとめ

  • 無垢の木材のみで作られている
  • 非常に耐久性が高いが、他の種類と比べて大幅に重い
  • 伝統的なスタイルを求める人や、コレクション目的の人に最適
  • あるいは、召使いに持ち運ばせることができるハワイの王族向け

チャンバードウッドサーフボード

Chambered Wooden Surfboard

チャンバードウッドサーフボードは、最初にソリッドボードとして成形し、その後、木のプランク(板材)を分割して内部をくり抜くことで軽量化する。

再度組み立てることで、強度と耐久性を維持しながら、より軽量なサーフボードが完成する。防水加工としてファイバーグラスでコーティングすることが多いが、必須ではない。

ソリッドボードと同等の強度を持ちながら、より軽い木製サーフボードを実現できる構造となっている。

まとめ

  • 無垢材を使用し、内部にチャンバー(空洞)を切り抜いて軽量化
  • 中空ウッドサーフボードよりは重いが、木製ボードらしいクラシックなフィーリングを維持
  • 波の安定性が高く、長期間使用できる耐久性を備えている
Feature 1
① 木材の準備
何本かの木材を準備しロッカーテンプレートを切る。
Feature 2
② アウトラインを切る
少量の木工ボンド等で仮止めし、ボードのアウトラインを切り、フォームボードと同じく「ブランク」状態にする。
Feature 3
③ シェイピング
希望のボードのシェイプにシェイピングする。
Feature 1
④ 再びばらす
最終シェイプが確定したら、いったんばらす。
Feature 2
⑤ 内部の木材を切り抜く
ばらしたら、一本一本の無垢材の余分の木材を切り抜き軽量化をする。元々の木材を殆ど切り抜き80%減量も可能。
Feature 3
⑥ 仕上げ
計量化が終わったら、通常通りグラス、フィンインストール等仕上げ工程に。

中空ウッドサーフボード

Hollow Wooden Surfboard

木製サーフボードの中でも最も高度な構造を持つとされるのが、中空ウッドサーフボード。内部に木製フレームを組み込み、その上に外板を張ることで、軽量かつ高強度なボードを実現する。製造には高度な技術と手間がかかるが、その分、木製サーフボードの中で最も軽く、それでいて頑丈な仕上がりとなる。

フォームボードと比べると、へこみや衝撃に対する耐久性が格段に高く、長期間にわたって美しさと機能性を維持できる。表面が無垢の木で構成されているため、足跡や凹みがつきにくく、使用感が長持ちするのも特徴。

まとめ

  • 内部に木製フレームを持ち、中空構造を採用
  • 軽量でありながら、高い強度と耐久性を確保
  • 自然な浮力があり、スムーズで安定したライディングを提供
  • フォームボードと同等の軽さ

さらに、中空ウッドサーフボードは、トップデッキとボトムデッキがフレームとは別に4mm厚の木材で構成されているため、異なる種類の木材を組み合わせたり、象嵌(インレイ)を施した繊細なデザインを作ることができる。その結果、一点もののユニークで美しいサーフボードが誕生する。

KitoSurfboards.com では、この中空ウッドサーフボードを取り扱っている。

Feature 1
① 内部枠踏みの組立
内部フレームを組み立て、上下のデッキを接着してサーフボードの全体構造を完成させる。
Feature 2
② インレイとデザイン
チャンバー構造の木製サーフボードやフォームボードでは実現できない、精巧なインレイやその他のデザイン要素を作り出すことが可能。
Feature 3
③ シェイピング&仕上げ
通常のボードと同じく、レイル等のシェイピングを行い、フィンボックスのインストール、グラスで完了。

Chapter 2: 最先端のデザインと熟練の技術

木製サーフボードは、自然素材と伝統的な「原点回帰」の製法を用いて手作りされ、自然やサーフィンの本質とつながることができる。一方で、製造プロセスが伝統と職人技を尊重する中、デザインの段階では最新技術を活用し、精密さと性能を最大限に引き出す計画が緻密に立てられる。

3Dモデリングで設計

最初の木材を成形する前に、サーフボードのデザインは高度な3Dモデリングソフトを使用して作成される。これにより、寸法の正確性、ボリュームの分布、最適なパフォーマンス特性が確保される。

精密レーザー&CNCカット

デザインが確定すると、ボードの内部フレーム(中空構造のボードの場合)やその他の主要な構造要素が、レーザーまたはCNC(コンピューター数値制御)マシンによって正確にカットされる。この高精度な加工により、各パーツが完璧にフィットし、一貫した品質のボードを生み出すことができる。

手作業による仕上げ & 熟練のシェイピング

機械による初期のカットが完了した後、本当の職人技が発揮されるのは、熟練のクラフトマンとシェイパーの手によってである。長年の経験とサーフボード作りへの情熱をもって、彼らは細部に至るまでこだわりながらボードを成形し、最高の性能と美しさを兼ね備えた仕上がりを実現する。

最新技術と伝統のクラフトマンシップを融合させることで、現代の精密さとクラシックなサーフボード作りの魂を兼ね備えた、美しく高性能なサーフボードが誕生する。

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重さについて

中空ウッドサーフボードは、耐久性を維持しながら軽量に設計されている。一般的にフォームボードと同程度の重量で、重くても最大で10%程度の差に収まる。デッキとボトムには4mm厚の木材を使用し、4ozのファイバーグラス層とバイオ由来のエポキシ樹脂で補強することで、強度・持続可能性・重量のバランスを最適化。内部のリブフレームは必要最小限の構造に抑え、余分な重量を増やすことなく剛性を確保している。

このわずかな重量の違いが慣性を高めるため、特にログ、フィッシュ、ミッドレングスのボードに適しており、風の強い日やチョッピーなコンディションでも安定したライディングが可能。サーファーやギアを含めた総重量を考慮すると、実際の違いはごくわずかで、よりスムーズなグライド性能と安定感、自然な乗り心地を提供する。

例えば、一般的なロングボードの重量が約8kgとすると、10%重いボードは9kgとなる。これは特に珍しいことではない。さらに、ボードに乗るサーファーの体重を考えてみると、

サーファーの体重: 55kg

ウェットスーツの重量: 2~3kg

これらを考慮すると、総重量は以下のようになる。

従来のフォームボード: 8kg + 55kg + 3kg = 66kg

中空ウッドサーフボード: 9kg + 55kg + 3kg = 67kg

その差はわずか 1.5%。

この違いを考えれば、ライドクオリティ、持続可能性、そして世界に一つしかない木製サーフボードの圧倒的な美しさを手に入れる価値は十分にある。

パフォーマンスについて

KitoSurfboards.comで提供する木製サーフボードは、本格的なサーファーのために設計されており、鑑賞用ではなく、毎日のサーフィンに耐えうる実用的なボード。フォームボードに匹敵するスムーズで高性能なライドを提供しながら、木ならではの耐久性と持続可能性を兼ね備えている。

中空構造により優れた浮力を持ち、スピードに乗りやすく、自然でレスポンシブなフィーリングを実現。最初はその美しさに惹かれる人が多いが、実際に波に乗ることで、その卓越したパフォーマンスに驚くはず。

熟練のクラフトマンシップと革新的な素材を組み合わせることで、従来のサーフボードと同等、あるいはそれ以上のフレックス、レスポンス、強度を実現。長く使い続けられる耐久性と環境への配慮を両立し、機能性と美しさを兼ね備えた唯一無二のボードとなっている。

最後に

木製サーフボードは、伝統、持続可能性、そしてパフォーマンスを兼ね備えた特別な存在。初期投資はやや大きく、一定のメンテナンスも必要だが、その耐久性、美しさ、環境への優しさを考えれば、真剣にサーフィンを楽しむ人やコレクターにとって非常に魅力的な選択肢となる。

経験豊富なサーファーはもちろん、サーフィンの歴史の一部として価値のあるボードを手に入れたいと考えている人にとっても、木製サーフボードの特性を理解することで、より納得のいく選択ができるはず。